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現在の日本の乳がんの実情と早期発見の大切さ

乳がんが増えている

私の外来に来られた患者さんに、乳がんであることを伝えると、晴天の霹靂で「まさか私が」と大抵はそのあと言葉を失ってしまわれます。中にはある程度の覚悟をしてから来られる方などは「ああやっぱり」とか「今日までずっーと悩んでいたのではっきりしてよかった」と言われる方もおられます。しかし乳がんの知識が広まるにつれて、「早く見つかって良か った」という方が増えてきています。今回は乳がんについての知識と早期発見の大切さについてお話をさせていただきます。

1996年を境にして女性のがんの罹患率の中では、乳がんが第一位になりました。日本人女 性がもっとも罹りやすいがんが乳がんだということです。乳がん患者数は、2005年では、41.000人、2015年には、48.000人になると言われています。

年齢層で言いますと、欧米の場合は60才代が多いのですが、日本人はピークが45才で若い人にも多いという特徴があります。この年齢であるがゆえに、幼い子供、働き盛りの夫、 老いたご両親、など多くの方が間接的に乳がんの犠牲になります。また、欧米では乳がんによる死亡率が年々低下しておりますが、日本では乳がんによる死亡率が上昇しています。現 在、日本では3人に1人が亡くなります。

早期検診が大切

欧米において死亡率の減少に大きく貢献したのがマンモグラフィによる早期発見です。マンモグラフィの原理ですが、2枚の板で乳房を挟みレントゲン撮影を行います。ちょっと痛いですが、乳房を薄くすることにより中が良く見えるようになりますし、レントゲンの被曝量も少なくてすみます。手に触れてしこりがわかる前に手術をすれば、乳房の形もほとん ど変わることなく、しかも命が助かる治療を受けることができます。今では早期に見つかれば10人のうち9人は助かります。

多くの自治体でもマンモグラフィの検診の整備が進んでいますが、まだマンモグラフィ検診の受診率が低く欧米のように死亡率を下げるには至っていません。(ちなみに欧米の受診率が75~80%なのに対して日本では2年に1度の検診でも17%以下です。)乳がんになることを止めることはできませんが、早期検診、早期治療により乳がんで亡くなることは防げます。

このためNPO法人J.POSHでは、『受けようマンモグラフィ検診。乳がん早期発見で笑顔の暮らし』をスローガンにより多くの人たちに知ってもらえるよう活動を行っています。みなさんも是非ご協力のほどよろしくお願いいたします。

認定NPO法人 J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)
理事長 田中完児